着物の整理B調整する-その1
家にある着物を精査すると、いろんなトラブルが発覚します。シミがあったり、袖丈や身丈が短かったり、着物に合う長襦袢がなかったり。そのまま着られるもののほうが少ないかもしれません。
うちの着物の場合、問題は、着丈が短いものがあること、袖丈が長いものがあることと、シミがあることの三つでした。うちではそれぞれ、次のように対処しました。
一、着丈が短い
うちで着丈が短い着物は、どれも祖母のものでした。祖母は身長150センチ足らずで、当時の人にすれば平均的ですが、160センチある私と比べれば小柄でした。
結論から言うと、私の場合、祖母の着物は、着物として着ることはすっぱり諦め、リサイクルすることにしました。「作る」で紹介していますので、よかったらのぞいていってください。
着丈が短いものを着たい場合、おはしょりをせずに着るという手もあるそうです。私はしたことがないので、詳しいことは言えないのですが、腰周りの帯やおはしょりで隠れる部分に別の布を足して、丈を長くする方法もあるそうです。
腕に覚えのある方は、自分で挑戦なさるのもいいかと思います。プロにお願いするなら、アンティーク着物を専門に扱うリサイクルショップなどに、リサイクルしてくれるところを紹介してもらえるか、聞いてみるといいかもしれません。
二、袖丈が長い
袖丈の標準は、時代によって変遷があるようですが、現在は一尺三寸*、約49センチなのだそうです。ところが、うちにある母の着物の袖丈は、ほとんどがそれより長く、55〜56センチありました。これは一尺四.五〜五寸程度に当たります。
*一般に一尺は約30センチ、一寸が約3センチですが、着物の場合は鯨尺(くじらじゃく)という、独特の尺を使います。鯨尺では一尺が約38センチ、一寸は約3.8センチです。
この袖丈のことは、母がシミ抜きの相談をしようと、着物持参で近所の呉服屋さんを訪れたときに発覚しました。
着物はすべて母が若い頃に着ていたもののため、当時の未婚女性の袖丈、一尺四寸から五寸に仕立てられていました。今は何もいわなければ、既婚、未婚にかかわらず一尺三寸で仕立てあがってくるようですが、母の若い頃は違ったようです。
母は、呉服屋さんから強烈に切ることをすすめられたと言って帰ってきました。今どき、そんなに長い袖丈はもっさりしてる、という意味のことを言われたようです。母は、着物の専門家が言うんだから、アドバイスどおり切ったほうが良いのではと言いました。
でも私には何かひっかかるところがあって、一応保留ということにしてもらいました。もちろん、振袖ほど長いならさすがに恥ずかしいですが、普通より6〜7センチ長いだけです。着物に興味のない人なら、気付かない程度です。
それに、うちにある一尺三寸のものと比べると、一尺三寸のものがきりっとして見えるのに対し、一尺五寸のものは、袖がわずかに長いことで、着物全体がやわらかい雰囲気になっているように感じていました。着物の個性として、これはこれで素敵なんじゃないか、と思ったのです。
悩んだのですが、結局、切らないでいくことにしました。切ろうと思ったらいつでも切れるけど、一度切ってしまったらもう戻らないというのもありました。
その後、正解を求めて、本やホームページをいろいろ見たのですが、その中で、心強いホームページと出会いました。着物染色家の佐藤節子氏のホームページです。
⇒ 着物新空間TOKYO
私が特に嬉しかったのが、袖丈についての、こんな言葉です。
「一尺三寸は、身長150〜155センチを基準にしたもの。身長160センチなら、一尺三寸五分か、一尺四寸で同じくらいのイメージになる」、
「今は30代、40代のシングル女性も増え、それぞれのライフスタイルで着物を楽しんでいる。個々に楽しみながら、自分が着たい袖丈を決めてみては」。
そうですよねそうですよね、といちいちうなずきながら読みました。
着物については、いろんな人がいろんなことを言うものだなあと、つくづく思います。多分、百人いれば、百通りの正解があるのでしょう。美しいものだけに、それぞれの美意識に強く訴えかけて、譲れないものを作るのかもしれません。
この袖丈の件があって、着物初心者としては、先生方、先輩方のおっしゃることを拝聴するのも大事だけれど、自分の感性を信じることも大事なんだとわかった気がします。
三、しみ
しみについては、着物の整理B調整する-その2をご覧下さい。
