季節の柄と色

 着物には季節ごとの色や柄があります。着物では、本物の季節を少しずつ先取りするのがおしゃれなのだそうです。

 たとえば梅の花の着物も、藤の花の着物も、それぞれ本物の花が咲く少し前に着ます。桜なら、桜がまだ蕾の頃に咲いている桜の柄を、桜が咲く頃には散る桜の柄を身にまとうのが格好良いのです。

逆に言うと、藤の着物を冬に着たり、もみじの着物を春に着たりするのは、野暮なわけです。

 最初は正直、ああ、またうるさいこと言いよるな、と思ったものでした。でも、これが、慣れてくると、そううるさいことにも思えなくなってきました。何の花が描いてあるかで、いつ着ればいいのかを教えてくれてるんだと気づいたからです。

笹百合の帯

例えばこの帯↑は、笹百合の柄。
笹百合は初夏の花で、夏帯に多い柄のようです。でもこの帯は袷なので袷の時期の終わりごろ、5月ごろに締めればよいのだと思います。

梅

これ↑は梅の模様の着物。梅は2月ごろの花なので、お正月ごろから節分のあたりくらいまでに着ればいいんだと思います。

もみじ

 もみじの柄↑。これは単衣なので、9月末ごろのものでしょう。もみじは10〜11月の柄のようなので、ちょっと早いですよね。もみじはもみじでも、色が紅葉していないから早くてもいいのかも。

 このように、季節を限定する柄が入ったものは、その時期しか着られません。贅沢なものです。しかし、関西人の私としては、もったいないような気がしてなりません。

  季節の花が入っていて、一年中いつでも着まわせるようなものはないものか? ということで、四季の花柄の着物の登場です。初春の梅、初夏のかきつばた、秋の菊など、ひとつの着物に四季の花がデザインされているものは、一年中着られます。ありがたいです。

四季の花

 春の花菖蒲と秋の菊が入った着物↑。よく活躍してくれます。

 季節の柄の代表的なものをあげてみます。
また、色使いにも季節感がありますので、一緒に紹介します。

春…柔らかな桜色や若草色、黄色

3月 菜の花、桃、雛人形、桜
4月 桜、牡丹、霞、藤
5月 藤、ぼたん、菖蒲、紫陽花

夏…涼しげな青系の色

6月 紫陽花、百合
7月 撫子、桔梗、朝顔、流水、波
8月 向日葵、撫子、花火、秋の七草

秋…侘び寂びの茶や紫

9月 萩、葡萄、菊、月見
10月 菊、銀杏、紅葉、更紗模様
11月 紅葉、菊、山茶花、有職文様

冬…落ち着いた褐色、黒、赤

12月 水仙、寒椿、雪、更紗模様
1月 椿、水仙、松竹梅、正月、干支
2月 梅、水仙、ふきのとう
下旬から桃や菜の花